【まとめ】選択的スプライシングの仕組みとその意義とは?計算についても解説【高校生物】

このレポートでは、高校生・受験生が苦手な選択的スプライシングについて解説しています。また、選択的スプライシングの意義と計算問題についてもまとめています。

なお、前提として「転写」「翻訳」「スプライシング」について理解している必要があります。

「まずは普通のスプライシングについて知りたい」という人は、先にこちらを読んでくださいね。

【まとめ】スプライシングとは?エキソン、イントロンについても解説【高校生物】

スプライシングについてわかりやすく解説します。また、エキソン、イントロンについてもまとめています。 目次エキソン、イントロンとはスプライシングとは ~mRNA前駆体と…

選択的スプライシングとは

まずは復習です。スプライシングとは、核内で合成されたmRNA前駆体から、イントロンを除去し、エキソンのみを結合する過程のことでした。

さて、これまで「エキソンは全て結合される」と思っていませんでしたか? これは間違いです。

実際のスプライシングの過程においては、全てのエキソンが結合されるわけではなく、一部のエキソンのみが選ばれて結合される場合もあります。

これを選択的スプライシングと言います。

選択的スプライシングの計算

なんのために選択的スプライシングなんていう面倒なことをしてるの?

ごもっともな質問です。ですが、その意味を答える前に、簡単な計算問題を行ってみましょう。

どうでしょうか?これが答えになります。

答えは15種類になります。計算の方法は分かりますか?

エキソンA~Dは、それぞれ「選択される」「選択されない(=除去される)」の2択なので、24 = 16通りになります。

え?じゃあ16種類が答えじゃないの?

全てのエキソンが1つも選ばれないパターンを抜いているからです。mRNAが作られないというのはあり得ないので、16から1を引けば答えの15種類になりますね。

少々イジワル問題だったかもしれませんが、安心してください。実際の問題では「少なくともエキソンXは絶対に選ばれる」といった条件がちゃんと説明されます。

選択的スプライシングの意義

定期テストや入試問題では、計算問題と共に「選択的スプライシングの生物学的な意義を答えよ」という問題も頻出です。

「意義」なんて言われてもよく分からないですよね。でも簡単です。

先ほどの計算から、元々は4つのエキソンからなる1つの遺伝子から、最大で15種類のmRNAが生まれることが分かりました。

15種類のmRNAからは、翻訳によって、15種類のタンパク質が合成されます。

これ、すごくないですか?

だって、1つの遺伝子から、15種類のタンパク質が作れるんですよ?(※あくまで今回のケースの話ですが)

ヒトはおよそ2万個の遺伝子を持ちます。しかし、ヒトの体には2万を遥かに超える種類のタンパク質が存在しています。

選択的スプライシングの生物学的意義とは「1種類の遺伝子から、複数種類のタンパク質の合成を可能とすることで、生体内のタンパク質の多様性を高めている」ということです。

タンパク質の多様性が高まることで、生物は環境に適応しやすくなり、子孫を残すことができるようになるのです。