【まとめ】アンチセンス鎖とは?転写の仕組みをわかりやすく解説【高校生物】

DNAの転写が苦手な高校生・受験生はとても多いです。ここでは、転写の仕組みについてわかりやすく説明します。また、アンチセンス鎖、センス鎖といった用語についてもまとめています。

セントラルドグマについて

細かいメカニズムの前に、まずは転写という現象がどのように位置づけられるのかを確認しましょう。

転写とはDNAの一部から遺伝子の情報を抜き出し、RNAの形に変換することを言います。

その後、RNAの情報からタンパク質が合成されます。この一連の流れをセントラルドグマと言いました。あやふやな人は復習しておいてくださいね。

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転写のメカニズム

それでは本題です。どのように転写が行われるのかを確認しましょう。

といっても、DNAの複製に比べれば、転写はとても簡単です。

転写①: 水素結合の切断

DNAは2本の鎖から出来ており、水素結合で繋がっています。

DNAの一部をコピーするためには、2本の鎖がくっついたままだと邪魔なので、まずはこの水素結合をブチブチっと切っちゃいます。

水素結合を切断する酵素はDNAヘリカーゼです。

ここの仕組みはDNAの複製と全く同じです。

転写②: mRNAの合成

DNAを丸ごとコピーする複製と異なり、転写ではDNAのうち今必要な情報のみをコピーします。

転写で登場するのはRNAポリメラーゼです。

まずこのRNAポリメラーゼが、アンチセンス鎖のプロモーターと呼ばれる特定の塩基配列に結合します。

プロモーターへの結合がトリガーとなり、RNAポリメラーゼは5末端→3末端方向に相補的なRNA鎖を合成します。

このRNAを合成する過程を「転写」と言います。

そして、この合成されたRNA鎖を特にmRNAと言います。

うーん、相補的とか言われてもなんかイメージできないです...

具体例を用いて考えてみましょう。

センス鎖、アンチセンス鎖とは

転写される際に、鋳型となる鎖を、特にアンチセンス鎖と呼びます。

一方で、転写に用いられない鎖を、センス鎖と呼びます。

senseとは「意味」、つまりアンチセンス鎖とは直訳すれば「意味がない鎖」ということです。

転写される鎖が「意味がない」、転写されない鎖が「意味がある」というのは、なんだかヘンテコな感じがしませんか?

この理由を説明しましょう。

例えば、鋳型となるDNA鎖(=アンチセンス鎖)で「ATC」なら、mRNAで「UAG」となります。

このとき、鋳型とならないDNA鎖(=センス鎖)の配列は「TAG」です。

つまり、

センス鎖とmRNAの配列との配列は、TがUに変わっている以外は全部同じ

ということです。

センス鎖とmRNAの配列との配列は(ほぼ)同じだから、鋳型とならない鎖は「意味がある」と解釈できるのです。

と言っても、これは人間が勝手に名前を付けてるだけなので、あまり深く考えても仕方ないです。

それよりも、

「センス鎖とmRNAの配列との配列は、TがUに変わっている以外は同じ」

という事実は、わかってしまえば当たり前ですが、問題を解く時には非常に重要な知識です。

これが分かっているといないでは、問題を解くスピードが大きく変わってきます。

補足

そういえば、複製ではプライマーが必要だったけど、転写では要らないの?

その通りです。DNA複製に登場するDNAポリメラーゼはプライマーを必要としますが、転写を行うRNAポリメラーゼはプライマーを必要としません。プライマーなしにいきなりRNA鎖を合成することができます。