【まとめ】突然変異に関する用語を全て解説!【高校生物】

いきなりですが、次の生物用語、全て説明できますか?

  • 突然変異
  • 遺伝的変異
  • 遺伝子突然変異
  • 染色体突然変異
  • 環境変異
  • ミスセンス変異

どうでしょうか?高校生物では突然変異に関する用語が多く、全てを整理して理解できている受験生は少ないと思います。

このレポートでは、高校生物で登場する突然変異に関する用語を全て網羅・解説しています。

用語の解説

それぞれの用語はこのような関係になっています。

これさえ理解できればバッチリです!

そもそも、「変異」とは何でしょうか?

変異とは個体間の形質の違いを意味します。形質とは簡単に言えば見た目の特徴のことです。

例えば、私とこのレポートを読んでいるあなたは、(きっと恐らく)同じヒトという種ですが、顔や身長、髪の色など、あらゆる形質に違いがあるでしょう。

そして突然変異とは「新しい形質が生じること」と定義されます。

遺伝的変異・環境変異とは

突然変異は、その形質が次世代、つまり子供にも引き継がれるか、それとも引き継がれないかによって、それぞれ遺伝的変異と環境変異に区別されます。

遺伝しない変異とは何でしょうか?

例えば、筋トレで腕がムキムキになることは環境変異の一例です。

なぜなら、いくら筋トレに励んでムキムキになったとしても、それはDNAが書き換わっているわけではないからです。

したがって、ムキムキの形質は子供に遺伝することはありません。

一方で、DNA自体の配列や染色体の構造などが変化すれば、それは子供にも遺伝します。こうした突然変異は遺伝的変異と呼ばれます。

遺伝子突然変異・染色体突然変異とは

遺伝的変異は、その変異がDNA配列に生じたのか、それとも染色体の異常によって生じたのかによって、それぞれ遺伝子突然変異と染色体突然変異に区別されます。

少し分かりづらいですね。しばしばDNAは生物の設計図と例えられます。

遺伝子突然変異は、設計図の内容が変わってしまうということです。

対して染色体突然変異は、設計図の中身は変わっていないものの、設計図それ自体がグチャグチャに丸められてしまい、正しく畳まれていない、といったイメージです。

欠失・挿入・置換・フレームシフトとは

まずは遺伝子突然変異の方から見ていきましょう。

とは言っても、この辺は聞き馴染みのある用語が多いのではないでしょうか? ここでは簡単に説明します。

塩基配列の途中で、塩基が抜け落ちることを欠失、逆に入り込むことを挿入と言います。

ある塩基が別の塩基に入れ替わることを置換と言います。

欠失や挿入が起きると、3個刻みのコドンの読み枠(フレーム)がズレてしまうため、読み枠のズレ、すなわちフレームシフトが起こります。

置換は突然変異の1つですが、読み枠自体はズレないため、フレームシフトは起こりません。

欠失・逆位・重複・転座とは

染色体突然変異は、染色体の構造に異常が生じる変異と、染色体の数に異常が生じる変異に区別されます。

染色体の構造異常による変異として、欠失・逆位・重複・転座があります。

欠失とは、染色体の一部がちぎれて失われる変異です。

逆位とは、染色体の一部がちぎれた後に、逆さまになって再び繋がった変異です。

重複とは、染色体の一部に同じ構造が連続して繰り返されている変異です。

転座とは、染色体の一部がちぎれて、別の染色体に繋がった変異です。

少々分かりにくいのが重複と転座ですね。例えば、ここに2つの映画のビデオテープがあるとしましょう。

重複というのは、映画を見ていた時に、コピーのミスなどが原因で、全く同じシーンが繰り返されているということです。

転座というのは、片方の映画のワンシーンが完全に無くなっており、そのシーンがもう片方の映画の途中に入り込んでしまっている、といったイメージです。

異数体・倍数体とは

異数体・倍数体は、染色体の数が異常になった変異です。

例えば、ヒトの染色体数は 2n = 46本ありますね。

しかし、これがもし47本になればどうでしょうか? ヒトのダウン症は、21番目の染色体が1つ増加することによって起こります。

このように、染色体の数が1本~数本増えたり減ったりする変異を、異数体と言います。

一方で、染色体数が2nではなく、整数倍の3n、4nなどになったものを倍数体と言います。

ところで、なぜ異数体や倍数体が生じるのでしょうか?

異数体は、例えば細胞分裂時に、娘細胞に染色体が正常に分配されない場合に生じます。

倍数体は、例えば減数分裂に失敗した配偶子(2n)が、正常な配偶子(n)と接合することで3nが生じます。

「全ての遺伝的変異が遺伝するわけではない」ということ

ここまで、ありとあらゆる突然変異の用語について確認してきました。

ところで「突然変異 = 遺伝する」と考えていませんか?

もちろん、すでに説明したように環境変異は遺伝しません。

しかし、遺伝的変異であったとしても、それが本当に子供に遺伝するかどうかは別の話です。

よく考えてください。たとえ私の髪の毛のある細胞でDNAに数え切れないほどの挿入や欠失が起きたとしても、それは私の子供には遺伝しません。

子供に遺伝する変異というのは、配偶子(ヒトなら精子と卵といった生殖細胞)で起きた変異だけです。

とても重要なことなのでもう一度繰り返します。

子供に遺伝するのは生殖細胞で起きた変異だけです!

実は私たちの体では常にたくさんの突然変異が生じています。(特に置換はよく発生しています)

しかし、体細胞で生じた突然変異は決して子供に遺伝しません。

体細胞の変異→遺伝しない

生殖細胞の変異→遺伝する

必ず理解しておいてください!