【まとめ】スプライシングとは?エキソン、イントロンについても解説【高校生物】
スプライシングについてわかりやすく解説します。また、エキソン、イントロンについてもまとめています。
目次
エキソン、イントロンとは
前提として、DNAと遺伝子の違いは説明できますか?
「ちょっと怪しいな」という人はまずこれを読んでくださいね。
さて、スプライシングを理解するためには、まずエキソンとイントロンについて知っている必要があります。
ざっくりと説明すると、
エキソン→遺伝子がコードされている部分
イントロン→遺伝子がコードされていない部分
になります。
(実のところ、この説明は不正確なのですが、多くの生物の参考書はこれで説明していることが多いです。とりあえず、高校生物の範囲ではこれで理解しておけば問題ありません。正確な定義については最後の補足を確認してください。)
-
先生、どっちがエキソンでどっちがイントロンかすぐに忘れちゃいます...
-
そうですねえ...こればっかりは人間が勝手に名付けた名前なので覚えるしかないですが、
イン「トロン」って、なんか眠そうで弱そうですよね。
弱い→要らない→遺伝子がコードされていない
こんな覚え方はどうでしょう?
スプライシングとは ~mRNA前駆体と成熟mRNA~
さて、エキソンとイントロン、どっちが大事ですか?
もちろん、遺伝子がコードされているエキソンの方が重要です。というより、エキソンだけに意味があると言えるでしょう。遺伝情報を持たないイントロンはガラクタに過ぎません。
え?口が悪いって?実際に、イントロンはジャンクDNA(=ガラクタのDNA)とも呼ばれるんですよ。
本題に戻りましょう。スプライシングとは、転写されたmRNAのうち、イントロン部分を全て除去して、エキソン部分だけを繋ぎ合わせる過程を指します。
RNAポリメラーゼがアンチセンス鎖をコピーする時、「エキソンだけコピーしてイントロンはコピーしない」なんて器用なことはしてくれません。丸ごと一緒にコピーしてmRNAが合成されるわけです。
スプライシングの過程では、このmRNAの中に含まれるイントロンを全て除去して、残ったエキソンだけをくっつけます。
転写されて出来立てホヤホヤのmRNAを「mRNA前駆体」
スプライシングを受けて完成したmRNAを「成熟mRNA」
と言います。
「スプライシングは真核生物だけで起こる」ということ
今回解説したスプライシングは、真核生物だけで見られる過程です。
言い換えれば、原核生物ではスプライシングは起こりません。
テストでもよく聞かれるところなので、覚えておいてくださいね。
-
どうして原核生物でスプライシングは起こらないんですか?
-
これは実はハイレベルな質問です。
というより、スプライシングが起きる真核生物の方が特殊と言えます。
そもそも、真核生物ではイントロンが多すぎるからスプライシングが必要なわけです。例えば、ヒトではDNAのうちたった約1.5%の配列だけに遺伝子があります。残りの98.5%はゴミです。
一方で、原核生物である大腸菌では、遺伝子領域は約30%もあります。原核生物では、わざわざスプライシングをする必要がない、と言えるでしょう。
スプライシングはどこで起きている? 核膜孔とは?
「スプライシングは細胞のどこで起きるのか?」という問題はよくあります。
答えは「核内(核の中)」です。
そもそも、転写は核内で起きています。
核の中で作られたmRNA前駆体は、核の中でスプライシングを受けて、成熟mRNAとして完成します。
成熟mRNAは、核膜に存在する核膜孔という穴を通り抜けて細胞質に移動します。
そして細胞質のリボソームにおいて、いよいよタンパク質の合成、すなわち「翻訳」が始まります。
選択的スプライシングとは
スプライシングにはもう1つ、選択的スプライシングという重要なトピックがあります。
選択的スプライシングについてはこちらで解説しています。まずは通常のスプライシングについて十分に理解してから見てくださいね。
発展
-
スプライシングはわかったけど、何がどうやってエキソンだけを繋げるの?
-
これは大学レベルの内容になります。
スプライシングはスプライソソームと呼ばれる巨大な分子によって行われます。スプライソソームは通常の酵素(タンパク質)ではなく、低分子のRNAといくつかのタンパク質が合わさった複合体です。